コラム

2026/06/29 コラム

建設業許可の29種類一覧|自社の工事に必要な許可の種類を調べる方法

はじめに

建設業許可を取得しようとする際に、まず理解しておきたいのが、許可が「業種別」に分かれているという点です。「建設業許可」という一枚の万能な許可証があるわけではなく、営もうとする工事の種類に応じて、適切な業種の許可を取得する必要があります。

現在、建設業許可は29の業種に分類されています。もし、自社が行う工事内容と、取得した許可業種が異なっていた場合、せっかく許可を取得しても、その工事を適法に請け負うことはできません。それは「無許可営業」と同じ扱いとなり、罰則の対象となる可能性があります。

本記事では、この29種類の許可業種にはどのようなものがあるのかを一覧でご紹介するとともに、自社の事業内容に合った許可業種を正しく選択するための方法について、弁護士が解説します。

Q&A

Q1: 当社は、一般のお客様から住宅リフォーム全般を請け負っています。この場合、「建築一式工事」の許可を取れば、内装や塗装、水道工事など、全てを行えるのですか?

いいえ、それはできません。 これはよくある誤解です。「建築一式工事」の許可は、元請として、複数の専門工事を総合的にマネジメントする大規模な工事(例:住宅の新築)を請け負うための許可です。この許可を持っていても、個別の専門工事(内装、塗装、管工事など)を、請負金額が軽微な建設工事の範囲を超える場合に、専門工事業者として請け負うことはできません。リフォーム工事で、実際に自社が施工する専門工事があるのであれば、その専門工事の業種(例:「内装仕上工事」「塗装工事」「管工事」など)の許可を、それぞれ取得する必要があります。

Q2: 複数の業種の許可を、同時に申請することは可能ですか?

はい、可能です。 会社の事業内容に応じて、複数の業種の許可を一度の申請で取得することができます。ただし、原則として、申請する業種ごとに、定められた技術的な要件(営業所技術者等の配置など)を満たす必要があります。

Q3: 許可を持っていない業種の、ごく小規模な工事を、メインの工事と一緒に行うことはできますか?

はい、「附帯工事(ふたいこうじ)」として認められる範囲であれば可能です。附帯工事とは、許可を持っている主たる建設工事に従として施工される、他の種類の建設工事のことです。例えば、「屋根工事」の許可業者が、屋根の葺き替えに伴って必要となる小規模な「塗装工事」を行う、といったケースが該当します。ただし、附帯工事にあたるかの判断は容易ではありません。附帯工事を自社で施工する場合の技術者配置や、必要に応じて該当業種の許可業者に下請発注する対応も含め、個別に確認する必要があります。

解説

建設業許可の29業種は、大きく「2つの一式工事」と「27の専門工事」に分かれています。

1. 2つの一式工事

一式工事とは、個別の専門工事を単独で請け負うものではなく、総合的な企画、指導、調整のもとに、大規模で複雑な工作物を建設する工事です。主に元請業者向けの許可といえます。

業種名

略号

工事内容の例

土木一式工事

道路工事、橋梁工事、ダム工事、トンネル工事、区画整理工事

建築一式工事

住宅新築工事、増改築工事、ビル新築工事、大規模修繕工事

2. 27の専門工事

一式工事以外の、個別の専門的な工事です。下請業者として工事を行う場合や、リフォームなどで専門工事を直接請け負う場合は、こちらの許可が必要となります。

業種名

略号

工事内容の例

大工工事

大工仕事、型枠工事、造作工事

左官工事

左官工事、モルタル工事、吹付け工事

とび・土工・コンクリート工事

足場組立、鉄骨組立、杭打ち、掘削、コンクリート打設

石工事

石積み・石張り工事、コンクリートブロック積み・張り工事

屋根工事

屋根ふき替え工事、屋根断熱工事

電気工事

発電・変電・送配電設備工事、照明設備工事、電車線工事

管工事

冷暖房設備工事、空調設備工事、給排水・給湯設備工事

タイル・れんが・ブロツク工事

タイル張り、れんが積み、コンクリートブロック張り

鋼構造物工事

鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、屋外広告工事

鉄筋工事

鉄筋加工・組立工事、鉄筋継手工事

舗装工事

アスファルト舗装、コンクリート舗装、路面標示工事

しゆんせつ工事

しゅ

河川、港湾等の水底の土砂などを浚渫(しゅんせつ)する工事

板金工事

板金加工取付、建築板金(外壁、屋根など)工事

ガラス工事

ガラス加工取付工事、ガラスフィルム工事

塗装工事

塗装工事、溶射工事、ライニング工事、路面標示工事

防水工事

アスファルト防水、モルタル防水、シーリング工事

内装仕上工事

インテリア工事、天井仕上、壁張り、床仕上、畳、ふすま工事

機械器具設置工事

プラント設備、エレベーター設置、立体駐車場設備工事

熱絶縁工事

冷暖房設備・冷凍冷蔵設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付断熱工事

電気通信工事

有線・無線電気通信設備工事、放送機械設備、データ通信設備工事

造園工事

植栽、景石、地盤改良、公園設備、広場、緑地等の工事

さく井工事

さく井工事、温泉掘削工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事

建具工事

建具

サッシ取付、シャッター取付、自動ドア設置、ふすま工事

水道施設工事

上下水道配管、下水処理場施設の工事

消防施設工事

屋内・屋外消火栓設置、スプリンクラー設置、火災報知設備工事

清掃施設工事

ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事

解体工事

工作物解体工事

3. 自社に必要な許可業種の調べ方

  1. 自社の事業内容を洗い出す: 過去の実績や、今後の事業計画から、請け負う可能性のある工事を全てリストアップします。
  2. 国土交通省の「手引き」を確認する: 国土交通省のウェブサイトには、各業種のより詳細な解説や、具体的な工事例、他の業種との区別などが記載された手引きが公開されています。主要な確認資料となります。
  3. 契約書や注文書を確認する: 元請業者からどのような工事名で発注されているかを確認するのも、客観的な判断材料となります。
  4. 専門家に相談する: 自社の工事がどの業種に該当するか判断に迷う「グレーゾーン」の工事も存在します。このような場合は、自己判断せず、許可行政庁の担当窓口や、弁護士、行政書士といった専門家に相談することが有用です。

弁護士に相談するメリット

許可業種の判断は、行政庁の解釈や過去の事例が影響する、専門的な領域です。弁護士は、建設業法や関連通達、判例などを踏まえ、貴社の事業内容がどの許可業種に該当するかについて、法的な観点から的確なアドバイスを提供できます。また、許可業種の範囲をめぐって発注者や行政と見解が対立した場合に、代理人として交渉を行うことも可能です。

まとめ

建設業許可の29業種の中から、自社に合った正しい許可を選択することは、コンプライアンスの第一歩であり、事業の可能性を広げるための重要な戦略です。

「一式工事」と「専門工事」の違いを正しく理解し、自社の事業実態を客観的に分析することで、必要な許可業種が見えてきます。判断に迷う場合は、専門家の助言を仰ぎ、万全の体制で許可申請に臨みましょう。


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