コラム

2026/06/28 コラム

建設業許可は500万円未満なら不要?例外と判断基準を徹底解説

はじめに

建設業を営む事業者の間で、「500万円未満の工事なら、建設業許可は必要ない」という話は広く知られています。実際に、多くの小規模な工事やリフォームなどは、この基準に基づいて許可なく請け負われているのが実情です。

しかし、この「500万円」という金額のルールは、実は誤解されやすい、注意が必要な基準です。この金額の計算方法を間違えたり、適用される例外を知らなかったりしたために、気づかないうちに法律に違反して「無許可営業」となってしまうケースが後を絶ちません。無許可営業には、罰則の対象となるだけでなく、企業の信用を失墜させる深刻な事態に発展します。

本記事では、建設業許可が不要となる「軽微な建設工事」の正しい考え方と、特に間違いやすい「500万円」の判断基準、そして注意すべき例外について、弁護士が整理して解説します。

Q&A

Q1: 請負代金が500万円未満かどうかは、消費税抜きの金額で判断すればよいですか?

いいえ、消費税込みの金額で判断しなければなりません。これは見落とされやすい点です。例えば、税抜480万円の工事契約の場合、消費税10%を加えると総額は528万円となり、500万円を超えてしまいます。この場合、建設業許可が必要となります。契約書に税抜金額しか記載がない場合でも、必ず消費税を含めた総額で判断するようにしてください。

Q2: 施主から材料を支給してもらい、当社は手間賃(労務費)として400万円を受け取る契約です。この場合、許可は不要ですか?

許可が必要になる可能性が高いです。たとえ契約金額が400万円であっても、注文者(施主)から無償で提供された材料がある場合、その材料の市場価格と、当社が受け取る労務費400万円を合算した金額が、請負代金の額と見なされます。もし、支給された材料の価格が100万円以上であれば、合計額が500万円以上となるため、許可が必要になります。

Q3: 同じ施主から、同じ建物について「外壁塗装工事300万円」と「屋根防水工事300万円」の契約を、2回に分けて締結しました。これなら問題ないですよね?

問題となる可能性があります。許可の取得を免れるために、意図的に契約を分割した「契約分割」と見なされるおそれがあるためです。工事の目的や内容から見て、本来は一つの工事として契約すべきものを、正当な理由なく複数に分割した場合、それらの合計金額(この場合は600万円)で判断されます。したがって、このケースは無許可営業にあたる可能性があります。

解説

建設業許可に関するルールは、建設業法第3条に定められています。原則として、建設工事の完成を請け負うことを業として行うには、元請・下請を問わず、建設業の許可を受けなければなりません。

ただし、例外として「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合は、許可は不要とされています。

1. 「軽微な建設工事」の正しい定義

「軽微な建設工事」とは、以下のいずれかに該当する工事を指します。

① 建築一式工事の場合

1件の請負代金が1,500万円未満(消費税込み)の工事

または、

延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

② 建築一式工事以外の建設工事の場合

1件の請負代金が500万円未満(消費税込み)の工事

ここでいう「建築一式工事」とは、複数の専門工事を組み合わせて、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事(例:戸建て住宅の新築)を指します。それ以外の、塗装工事、内装工事、電気工事、管工事といった専門工事は、すべて②の「500万円未満」の基準が適用されます。

2. 請負代金額の判断における重要ポイント

金額を判断する際には、以下の点に細心の注意を払う必要があります。

  • ポイント1:消費税込みの金額で判断する
    契約書や注文書の金額が税抜表示であっても、必ず消費税額を含めた総額で500万円未満かどうかを確認します。
  • ポイント2:材料費も含めて判断する
    注文者から材料の提供を受ける場合は、その材料費も請負代金に含めて計算します。
  • ポイント3:契約を分割しても、合計額で判断される
    許可逃れのために、本来一つの工事を分割して契約することは脱法行為です。工事の時期や場所が近接しており、全体として一つの工事と見なされる場合は、各契約の合計額で判断されます。

3. 無許可営業の重大なリスク

もし、建設業許可が必要な工事を許可なく請け負ってしまうと、「無許可営業」として、建設業法に基づき罰則が科されます。

  • 刑事罰:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
  • 信用の失墜:一定の刑に処せられた場合には、その後一定期間、建設業許可の欠格要件に該当することがあります。
  • 事業上の不利益:
    • 元請業者や金融機関からの信用を失う。
    • 公共工事の入札に参加できない。
    • 大規模な工事を請け負う機会を失い、事業の成長が阻害される。

弁護士に相談するメリット

  1. 許可要否の的確な判断
    ご自身の事業内容や、個別の工事契約が、建設業許可を必要とするものかどうかを、法令に基づき的確に判断し、アドバイスします。
  2. 許可申請のサポート
    建設業許可の取得は、多くの書類を準備し、複雑な要件を満たす必要があります。弁護士は、行政書士などの専門家と連携し、スムーズな許可取得をサポートします。
  3. コンプライアンス体制の構築
    社内で、建設業法を遵守した契約・受注体制を構築するための助言や、社内研修の実施などを支援します。

まとめ

500万円未満なら許可不要」というルールは、決して単純なものではありません。その判断の裏には、「消費税」「材料費」「契約分割」といった、見落としがちなポイントがあります。

これらのルールを正しく理解しないまま事業を行うことは、厳しい罰則のリスクを常に抱えることになり、適切なリスク管理とはいえません。請け負う工事の金額が500万円に近づいてきたら、それは事業が成長している証であり、建設業許可の取得を真剣に検討すべきタイミングです。

自社の状況が許可を必要とするか否か、疑問に思った際は、専門家である弁護士にご相談ください。

 


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