コラム

2024/11/29 コラム

建設業法の概要と違反のリスク

はじめに

建設業は社会の基盤を支える重要な産業です。しかし、その運営には複雑な法律が関わり、不適切な行動や手続き不足が法的リスクを生むことがあります。ここでは「建設業法の概要と違反のリスク」についてわかりやすく解説し、建設業者がどのような影響を受ける可能性があるのかを具体的に紹介します。

Q&A形式で理解する建設業法

Q1:建設業法とは何ですか?

建設業法は、建設業の健全な発展と工事の適正な施工を確保するために定められた法律です。建設業法は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、③建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的としています。

Q2:建設業法に違反するとどうなりますか?

違反した場合には、指示処分、営業停止処分、許可取消処分の行政処分を受ける可能性があります。さらに、悪質なケースでは罰則が科されることもあり、刑事罰にまで発展することがあります。

Q3:違反した場合の具体的な処分はどのようなものですか?

処分の内容は違反の程度によって異なります。軽微なものでは指示処分、重大な場合には営業停止、さらには許可取消が行われます。

建設業法とは 

建設業法は、建設工事の契約・履行に関する秩序を保ち、工事の安全や品質を確保するために制定されました。主な目的は次の通りです。

  • 建設工事の適正な施工を確保する
  • 発注者を保護する
  • ③建設業の健全な発達を促進する
  • 公共の福祉の増進に寄与する

この法律により、建設業を営むには適切な許可が必要であり、これを無視した営業は重大な違反行為として厳しく処罰されます。

建設業法違反時の法的リスク

建設業法に違反すると、監督官庁(通常は許可権者)からの監督処分が科されることがあります。これらの処分には、以下の3種類があります。

1.指示処分

違反行為の是正を求めるもので、監督官庁から具体的な改善指示が出されます。この指示に従わない場合、さらなる重い処分に発展することがあります。

2.営業停止処分

建設業者が新規の契約を締結したり、入札に参加することが一定期間禁止されます。ただし、既存の契約に基づく工事や緊急の修繕作業は例外的に認められることがあります。

3.許可取消処分

特に悪質な場合には、建設業許可が取り消されます。許可がなくなると、事業の継続が不可能になり、会社の経営に大きな影響を及ぼします。 

これらの行政処分に加えて、重大な違反があった場合には刑事罰が科される可能性もあります。たとえば、無許可で工事を請け負った場合には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課されることがあります。会社が違法行為をしていた場合は、法人としても重い罰金が科されることがあります。

各処分の概要

  •  指示処分
    主に是正を命じる処分であり、違反行為を改めることを要求されます。是正が行われない場合は、営業停止処分に移行します。
  • 営業停止処分
    新規工事の契約や入札活動が禁止されますが、契約済みの工事や緊急対応は継続可能です。営業停止は1年以内で設定され、違反の度合いに応じて決定されます。
  • 許可取消処分
    建設業許可が取り消されると、正式な手続きなしに事業を続けることはできません。処分が公告されると企業の信頼性に大きく影響し、業界内での評判も損なわれます。

 さらに、処分内容は官報や公報で公示され、国土交通省や都道府県のウェブサイトでも閲覧が可能です。この公示により、企業の不正が広く知られ、取引先や顧客との関係にも悪影響を及ぼすことになります。

弁護士に相談するメリット

建設業法に関する問題が発生した場合、早期に弁護士へ相談することは多くのメリットがあります。

1.法的リスクの最小化

弁護士は、企業が法的問題に巻き込まれるリスクを軽減するための助言を提供します。事前に違法行為を回避できるよう、適切な手続きや契約内容の確認が可能です。

2.迅速な対応

法的トラブルが発生した際には、スムーズな交渉や行政機関への対応が求められます。専門知識を持つ弁護士が対応することで、迅速かつ適切な処置が期待できます。

3.信頼性の向上

法令を順守し、トラブルを未然に防ぐ姿勢を示すことで、企業の信頼性が向上します。弁護士との連携を通じて、透明性のある経営を実現できます。

まとめ

建設業法は、建設業者にとって厳格に守るべき法律です。違反すれば重大な処分や罰則を受けるリスクがあり、会社の存続すら危うくなることもあります。適切な法的助言を受けることで、リスクを未然に防ぎ、トラブル発生時も有利に進められるでしょう。今後の健全な企業経営のためにも、法令の理解を深め、必要に応じて専門家の助力を活用してください。

 


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